最終更新日時: 2024年6月9日
自営業やフリーランス世帯は、一般的なサラリーマン世帯に比べて、退職金制度がありませんよね。
しかも、年金は国民年金のみ。
老後の生活資金が心配になりますよね。
どのように老後の生活資金を組み立てていけば良いのでしょうか?
その辺りを確認していきたいと思います!
目次
自営業世帯の老後は厳しい?
自営業世帯は、サラリーマンのように退職金がありません。
おまけに、何もしなければ年金も国民年金のままです。
二つの不安要素とは?
つまり、何もしない状態ですと、
○退職金がない
○国民年金だけだと、サラリーマンが加入している厚生年金より低いので、もらえる年金も当然低くなる
という2点の不安要素を抱えます。
そう考えると、会社員はとても充実した制度に囲まれているという裏返しでもあります。
退職金制度はもちろんのこと、社会保険についても、厚生年金をかける上で、会社側が費用の半分を負担しています。
自営業世帯の場合は、折半で負担してくれるような相手はいませんので、自分自身で全て老後の生活資金を組み立てなければなりません。
計画を立てていかないと、老後の生活を考える上では厳しいですね。
この二つの不安要素を解消する方法を以下の制度で検討してみます!
今からでも出来る対策法とは?
退職金や年金の保障が充実してない状態をどのように解消していくべきか?
以下にあげる制度を見ていきます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
カタカナでイデコと言います。
このイデコは、個人が任意で加入する事ができる年金制度のことを言います。
もともと、自営業向けに作られた制度ですが、自営業世帯に限らず、昨年より20歳以上であれば誰でも加入する事が出来るようになりました。
それほど、注目を集めていたという事でもありますね!
このイデコは、基本的に自分で運用会社を選び、年金を満期まで運用させて資産を増やしていき、受け取っていくという仕組みです。
イデコの大きな特徴は3つあります。
①掛け金が全て所得控除の対象になり、節税効果がある。
②イデコで運用されて、プラスとして出た利益に対して税金がかからない。
③受け取る時も節税効果がある。
3つそれぞれあげましたが、イデコの特徴はなんといっても節税効果が高いことにあります。
これは、年金を運用しているという感覚を忘れるぐらい、節税効果のメリットを受ける事ができるありがたい制度です。
例えば、①で見てみると、課税所得500万円で、掛金を月額2万円ずつに設定場合の節税目安として、年間で7万2千円ほどになります。
加入するだけで税金が戻ってくるわけですから、税制上の優遇がかなり優れていると言えます。
ただ、もちろんデメリットもあります。
一つは、満期まで解約する事が出来ないという事。
生命保険などと同じように、途中で解約する事が出来ないので、万が一資金が必要になっても、積み立てた分を使うことはできません。
二つ目は、元本割れするリスクがあるということです。
運用商品は基本的に自分で選択できるので、投資信託のように運用益を大きくあげたい場合は、リターンの大きい運用商品を選べばいいですが、反面、元本割れも大きくなります。
もし、運用益はそこまで必要ないよ!と考えた場合は、定期預金に近い運用商品もあります。
しかし、運用していくにあたって、運用管理手数料が月500円などとかかってきます。
これも、運用する金融機関に応じて手数料が異なっており、ネットですると手数料が無料のところもあります。
毎月手数料払った分が、それこそ老後まで20、30年とかかってくると、10万円以上も手数料を支払わないといけなくなります。
この辺りは十分注意して、金融機関を選ぶ必要があります。
②の運用益について、これも非課税になるというメリットがあります。
基本的に、資産運用で生み出した利益には20%近く税金がかかり、とても大きいです。
これが非課税になりますので、年金の運用であげた運用益は、全てもらえるという事になります。
③は、受け取りをする際、選択する事が出来ますが、この時も所得控除を受ける事が出来ます。
つまり、控除が大きいほど税金を支払わなくてよいことになるので、節税効果が大きいということになります。
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や小さい会社の役員などが退職する場合に、積み立てた額に応じて共済金を受け取る事ができるというものです。
メリットについては、以下の通りです。
①掛け金は全額経費に計上できるので節税になる。
②契約者貸付制度がある。
③契約期間が長ければ、掛け金の100〜120%を受け取る事が出来る。
全額経費に出来るという点は大きいですね!
余分な税金を支払う必要がないので、節税効果になります。
②も大きいと思います。
いざという時に借入を利用することができるので、これも安心できる制度と言えます。
借入利率も1%前後と低いので、利用しやすい制度と言えます。
もちろん、デメリットもあります。
①契約期間が20年経たないうちに解約すると、掛け金が全て返金されず、いわゆる元本割れのような状況になる。
②法人保険と比較すると、保障が弱いという点
大きくこの2点ですが、①は契約期間内に解約をしないようにすればいいですが、②については、法人保険と比較すると少し物足りないです。
法人保険も、小規模企業共済と同じように退職金を積み立てていくものです。
しかし、小規模企業共済と違うのは、保険商品であるという点です。
万が一のことがあった場合、小規模企業共済は退職金を積み立てることに特化しているので、何の対応もありません。
しかし、法人保険だと、万が一のことがあっても、会社が代わりに受け取ることができ、会社の資金にすることができます。
○万が一のリスク対策に優れている法人保険か?
○退職金積み立てに特化している小規模企業共済か?
という選択になると思います。
国民年金基金について
国民年金基金は、国民年金被保険者1号にあたる人が入ることができるものです。
なので、2号にあたる会社員や、3号にあたる被扶養者も入ることは出来ません。
もともとの趣旨は、自営業世帯に対して、年金のプラスアルファになるように提供された制度です。
一番の特徴とは?
国民年金基金の一番の特徴は、最初に予定利率が決まっており、それをもとに、以降その利率が満期時までずっと続くので、確定給付型の年金制度であるということです。
つまり、予定利率をもとに計算して、満期時にすでにもらえる年金額は確定しているということです。
イデコは運用するので、運用益が出たり、もしくは損失の可能性もありますが、国民年金基金はそのような増減がなく、加入時点で一律もらえる額は決まっています。
最近では、どうしても上でとりあげたイデコが台頭するようになってきたので、その存在価値は年々弱まっている傾向にあります。
しかし、国民年金基金も決して無視できるものでもありません。
以下メリットとデメリットをあげてみます。
国民年金基金のメリット
①年々予定利率自体は下がってきているけど、年1.5%と、定期預金などよりは全然良い。
②確定しているので元本割れという心配もない。
国民年金基金のデメリット
①予定利率がすでに決まっているので、この利率が上昇してももらえる利益は変わらない。
②任意による解約はできない。
③制度が破綻する可能性もある。
制度上の不安が大きい?
以上、メリットとデメリットを取り上げました。
メリットでとりあげた、もらえる年金額が確定しているということは、安全志向にある人にとってみれば、年金の増減で心配することがなくなります。
しかし、デメリットにあげた、制度上の問題を抱えていることも事実です。
いつか、国民年金基金制度が続かなくなり、制度破綻するようなことがあれば、それ以降の積立も出来なくなる可能性もあります。
今の年金制度全体で抱える問題点の一つですね。
そのような不安要素もあるので、制度を信じて入るか入らないかを選ぶ必要があるということです。
組み合わせを考えてみる!
以上あげてみましたが、必ずしもどれか一つに入らなければならないというわけではなく、組み合わせて入ることも可能です。
私のおススメとしては、イデコと小規模企業共済のダブル加入です。
掛け金を少額ずつ行って、それぞれの制度をうまく使えるように工夫すれば、よりリスク対策を図ることも出来ます。
もちろん、一つだけに少額掛金で入ることもいいと思いますので、金額的に厳しいようであれば、一つに絞って少額加入でもいいと思います。
自営業世帯は、最低でも一つは加入しておけば、老後の資金面において、不安が少しでも解消されるはずです。
まとめ
今回は、自営業世帯の老後の生活資金づくりを見てきました。
自主性が要求されるので、特に何もしていなければ、国民年金のみになってしまい、これだけでは老後の生活に不安を抱えてしまいます。
少しでも安心した暮らしが実現できるように、上記一つでも興味があれば検討してもらいたいと思います!