最終更新日時: 2024年6月9日
教職員賠償責任保険という保険を聞いたことはありますか?
普段、あまり聞き慣れない保険だと思いますが、年々加入者が増えているようです。
なぜ増えていて、しかも加入する事によりどのようなメリットがあるのか?
今回は、この保険の加入者が増えてきている背景や、入った事によるメリットなどを中心にみていこうと思います。
教職員賠償責任保険とは?
教職員賠償責任保険とは、教員が公務上の様々なトラブルに対して備える保険のことを言います。
具体的な例でいくと、
・重要な個人情報を紛失してしまった。
・卒業アルバムの校正ミス。
・部活動中、過度な指導により子どもが熱中症により死亡。
など。
これら基本的には学校側の責任になりますが、ポイントは教員個人に重大な故意や過失があるかどうかになってきます。
明らかに教員個人による過失が認められるならば、
訴訟を提起された時に、学校と教員両方ともに損害賠償請求等がなされてしまいます。
この故意や過失の結果云々は、最終的に判決によって変わってくるため、難しい部分もあります。
しかし、判決により教員個人への賠償責任が認められてしまうと、学校と教員両方ともが支払い請求に応じなければならないということになります。
その時のために、教職員賠償責任保険に入っておくと、請求訴訟等にすぐ対応できる形になります。
そもそもなぜ加入者が増えてる?
全国的にみて、教職員による加入者(特に管理職)が増えているようですが、そもそもなぜ増えているんでしょうか?
それは、昔と比べて、学校だけの問題だけではなく、個人への責任追及をされる時代になってきているからです。
上であげたように、学校だけに請求すれば済んでいた話が、
今では教員個人も責任を取るために、請求額を支払わなければならなくなってきているということです。
学校の管理責任はベースにあるものの、学校の責任だけでは済まない事案も多くなってきているんですよね。
例えば、部活動中に熱中症で倒れて亡くなってしまったなど。
しっかりとした対応を取っていれば責任追及も最小限に収まりますが、
教員個人として、対応を明らかに怠ったものと判断されれば、訴訟による追及をなされる可能性があります。
これは、昔でいう体育会系の指導が当たり前だった頃と比べて、
より管理体制の厳格化の流れにもなってきているということです。
部活動に限らず、いじめ問題であったり、時代が変わるほど学校への風当たりも強くなってきています。
そのような背景もあって増えているのでしょう。
加入によるメリット
この賠償責任保険に加入した場合には、どのようなメリットがあるのか。
列挙してみますと、
・公務のトラブルに備えることができる
・訴訟費用に備えることができる。
・見舞金等にも対応している。
・在職中に起こしたもので、退職後に請求された場合でも対応できる。
など。
日常起こりうるトラブルに対して、金銭面での解決を図る時に、学校だけでなく、
教員個人も少額ながら出さないといけないケースが増えているという事なんですね。
億単位とか、とてつもなく大きな金額ではないですが、
かといって100万円、200万円単位の負担を急に強いられる事になるのもしんどいです。
そう言った時に、保障があると安心な部分はありますね。
教職員賠償は身近にある
教職員賠償責任保険として、単体で入ると月々の掛金も多くなります。
そこで、教職員共済です。
最もベーシックな商品である、
「総合共済」
の中に、教職員賠償の保障も含まれています。
総合共済自体、10種類以上の項目を保障しているので、汎用性がとても高いんですね。
しかし、その反面それぞれの保障額は当然低くなりますから、その判断については、しっかり必要保障額を定めた上で決めていく必要があります。
ただ、個人の賠償責任保険の上限額も3,000万円と、ある程度保障されてます。
また、別途訴訟対応の費用や見舞金等も100万円ずつ出るような内容になっているので、柔軟性も兼ね備えているものと言えます。
この保険は入るべき?
保険加入の必要性については、必ず入らなければならない部類のものではないです。
万が一訴訟トラブルになっても、生活破綻を招くほどの発生確率は低いです。
ただ、どうしても公務上のトラブルに備えておきたいという事であれば、先程あげた、
「総合共済」
が月々の負担も少なくて、継続利用がしやすいものになってきます。
いずれにしろ、その他保険を並べて考えた場合に、優先事項としては低いものと言えます。
まとめ
今回は、教職員の個人賠償責任保険についてみてきました。
月額の掛金も安くなるので、検討してみてもいい保険ではありますが、必ずしも必要的なものではないです。
総合共済に加入した、あくまでついでの保障として見て頂いたら良いと思います。
ただ、責任が重くなる管理職については、よりこの保険の重要性も増してきます。
加入するタイミングというものもあると思いますが、
現状の立場としてリスクある立ち位置にいるかいないかも見極める材料の1つになると思います。
この辺りを判断の一つとして考えてみて下さい。